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2011-10-01

化け物斬られ損

前回のあらすじ:
塩冶興久は化け物が出るという座敷に「そんなもん出るわけないだろ、JK」と赴いた。
しかし一つ目の老婆と石のように重い童子二人が丑三つ時に現れ、
老婆は興久に話し相手になってくれと言う。
答えない興久。童子を殴りつける興久。怒った老婆を一も二もなく斬りつける興久。
化け物たちは雛妻のように光ると虚空に消えた。

うーん、考えてみると、老婆は何も悪いことしてないよね。
興久テラヒドスw


塩冶興久化け物を切ること(下)

「どんな妖狐や古狸の類であろうと、あれだけ思う存分斬りつけてやれば、
そう遠くには逃げられまい。早く夜が明けぬものか」と興久が待っていると、
東の空が白々と明るくなってきた。
早速若党たちを招集して、「昨夜、妖怪変化を斬ったぞ。跡をつけてみろ」と命じるが、
目印など何もないので、若党たちもどこを探していいかわからない。
興久が言うには、縁の下に入ったように思うとのことだったので、
縁の下にもぐってみると、大きな穴が見つかった。
そこでその穴を広げ、三間(5.4メートル)ほど掘り進むと、
底から高さ九尺(2.7メートル)くらいの五輪塔と、二つの三尺(90センチ)程度の五輪塔が掘り出された。
その三尺の五輪の頭には血がついている。
これは、興久が拳で殴った際に、指の皮が破れて出た血が付いたものだろう。
また、九尺の五輪には頭に刀傷が二つあった。
塩冶は言う。

「その昔、王伯通という人があった。屋敷を一軒建てたが、そこに泊まった人は必ず死んだという。
伯通はしかたなく門戸を閉ざして誰も泊まらせないようにしていた。
嵆康という人がやってきて、どうしてもそこに泊まらせてくれというので屋敷の中に入れたところ、
嵆康は夜になってもずっと琴を掻き鳴らしていて、
真夜中(午後十一時ごろ)になると嵆康の前に八人の鬼が現れたそうな。
嵆康は最初こそ怯えて乾元亨利貞(法呪のようなもの)を唱えていたが、数度唱えた後で鬼に問いかけた。
『王伯通がこの屋敷を建て、人が泊まることがあると必ずその人は死んでしまうという。
おまえたちが殺したのか』

すると鬼は、『まさか、私が人を殺すなんて、とんでもない。
我らは舜(中国神話に登場する賢帝)の時代に、楽をつかさどる官吏だった。
兄弟が八人いて、伶倫という者だ。
舜は、邪な佞臣の注進を受けて、我ら兄弟を無実の罪で殺してここに埋めたのだ。
王伯通が我らの塚の上に屋敷を建てたので、重くてかなわない。
だから、人が来て泊まってゆくのを見ると、その人にこのことを伝えようとしたのだが、
人は皆我らを見て肝を潰して死んでしまう。殺そうと思って殺したわけではないのだ。

先生にお願いしたいのは、伯通にこのことを伝えて我らの骸骨を掘り起こし、
よそに葬りなおしてほしい。そうすれば、半年後に伯通は本国の太守となるだろう。
先生には、広陵の一曲を教えて進ぜよう。訴えを聞いてくれたお礼だ』と言った。
嵆康は大変喜んで、持っていた琴を鬼に与えた。鬼が一度弾いただけで嵆康はすっかり覚えてしまったという。

さて、夜が深まり、心配になった伯通が屋敷に様子を見に行くと、
嵆康が掻き鳴らしている美しい琴の音を聞いて、どうしたことかと嵆康に尋ねた。
嵆康から先ほど起こったことを詳細に聞き出すと、伯通は翌日すぐに人夫を手配して地中を掘らせる。
果たして、ついに骸骨を見つけた。
別に棺を作らせて、清浄な場所に葬ったそうだ。
後晋の文帝が即位すると、伯通は鬼の予言の通りに太守となり、嵆康は中散大夫に昇進したとな。

私が思うに、この骸骨も伶倫と同じようにこの家に押し潰されて、苦しくなって姿を現したのだろう。
よそに移して手厚く葬れば、私も末は一国の守護ともなろうよ」
興久はそう決めて、通安寺の墓所に埋葬した。
その五輪塔の下に埋められていた者は、生前の宿業が深く四生六道に迷うだろうと、
如形の供養までしてやったという。


以上、テキトー訳。

メデタシメデタシ、なのか!?

老婆はこれまで座敷に来た人たちを殺したとは言ってないし、
人恋しいから昔話を聞いてくれと言ってきただけで、
べつに墓の上に建った屋敷が重いとか、そんなこと一言も言ってないんだが。
無理やり大陸の神話につなげるってのはどうなの。
鬼の話をちゃんと聞いてあげる嵆康に比べて、興久ときたら・・・

なんかイマイチ納得できないが、
まあ武勇伝といえば化け物退治!って風潮の片鱗を見れて楽しかったかも。
老婆の妖怪のモデルがいるところといい、作り話感プンプンだけどね。

さーて、そろそろ隆元成分が足りなくて恋しくなってきたわけだが、
「陰徳記」中でも隆元の活躍ってあんまり描かれてないっぽいんだよな。
次はどこを読むか・・・・・・
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