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2012-05-20

信長の首

ぎゃああああ。更新したと思っていたら本文がまるっと抜けていたでござるうううぅぅぅ!
パーティー行ってきて酔っ払って確認してなかったからホントだめね。
そんなわけでアップし直し。

前回までのあらすじ:
光秀は信長に見出されてずいぶん出世したけど、
いずれは小姓の森乱丸の讒言で殺されてしまうと思って、逆意を抱いたよ。
家康の接待役を仰せつかって準備したのに、直前で他の人に担当が変えられたよ。
面目丸つぶれだよ! 信長、殺す!
ということで機会をうかがっておりましたとさ。


光秀、信長を弑すること(3)

さて羽柴筑前守から信長に早馬が来て、「備中高松の城を取り囲んだところ、
吉川駿河守父子・小早川左衛門佐などが後詰としてやってきました。
兵力は、先年播磨の上月表に攻め懸けてきたときよりはるかに少なく、
ようやく三万に届く程度かと思われます。早々に出馬なさってください。
吉川・小早川の陣を切り崩し、そのまま芸陽に押し入ってしまいましょう。
毛利家退治のときが来たと思われます」と、再三注進してきた。
信長が、「では近隣の国の武士たちは急ぎ西国に下向して、秀吉に協力するように。
私もすぐに出張りしよう」と下知したので、皆自分の国に帰って軍勢を整えた。な
かでも惟任日向守は思うところがあったので、急いで丹波に下ると、国中から兵を集めた。

高野山には敵が数万騎で付城を構えて攻めたので、
「信長には、日本のと東西の諸将でさえ、あるいは滅ぼされ、または兜を脱ぎ旗を巻いて降伏した。
当山の宗徒がどうして戦利を得られようか。仏神のご加護がなければ我らも殺されてしまうだろう」と、
修行を極めた老僧たちは、調伏の法を修し、精魂を尽くして祈った。
満願の第七日目は六月朔日だったが、数々の珍しい現象が起こったという。

惟任は、「西国へ出陣する軍勢のいでたちを信長公にお見せしたい」と発表して、
総勢八千余騎で、五月の晦日の夜半に丹波の亀山を出発した。
どんどん道を進んでいくと、まだ夜中のうちに大江山まで着いた。
ここで惟任が明智左馬助(弥平次秀満)・斎藤内蔵助(利三)などに向かって、
「この密事をすべて軍兵たちにも言い聞かせよう」と言うと、皆「それがよろしいでしょう」と答える。

光秀は諸軍勢に向かって、「私はとあるわけがあって、信長を討ち果たそうと思っている。
皆、これから本能寺に討ち入り、一気に攻め破ってしまえ。
私がこの大望を遂げたならば、皆にも大国を宛行おう。進めや、者ども」と呼びかけた。
兵たちはこれを聞いて、勇み進んで洛中へと攻め寄せた。

折りしも信長はそのとき、終夜多数の美女を集めて、酒を飲み、
歌を謡わせるなどして何の用心もしないでいたが、「飲みすぎた」と言って帳の中に入り、
珊瑚の枕を押しやって、美しい婦人の玉臂にすがって寝はじめたので、
当番の者たちも皆、帯剣を解いて寝入った。

こうしたところに、天正十年六月朔日、東雲が明けてゆくころ、光秀は大江山を越えて桂川に臨んでいた。
村井長春軒(春長)が召し使っていた者が、桂川のほとりで畔頭などをしていたが、
光秀の兵が西国には下らず、洛中へ行こうとしているのを不審に思って、急いで使者を遣わした。
「光秀の軍兵たちは西国へは向かわず、洛中目指して討ち入ろうとしております。
おそらく光秀は謀反を起こしたものと思われます。ご用心ください」と注進したけれども、
これを聞いた者は、「何を言うか。今さら誰が、わが主君信長公に向かって弓を引くというのか。
なかでも惟任は世に類ない厚恩を受けている。
他の者ならともかく、光秀に限ってそんなことするはずがない」と、まったく聞き入れなかった。
これが信長の運のつきだった。

光秀の先駆けの勢は、卯の上刻(午前五時ごろ)に本能寺の門前に至った。
「光秀は西国に出陣するいでたちを信長公にお見せするためにここまで参りました。
上様にもこのことをお伝えください。紋も開いてください」と言うので、
門番たちは「それは喜ばしいことです」と、門を八の字に開いた。
すると光秀の勢が一度にどっと駆け込んでくる。
当番の者たちは、「上様はまだ御殿に籠もっていらっしゃるというのに、
狼藉に及ぶのはいったい何者か!」と制したけれども、兵たちは鬨の声をどっと上げた。
陳後の主である張麗華が、珠簾宝帳の奥で孔貴嬪と歌舞遊宴に興じているとき、
韓擒虎が数万騎を率いて新林から真っ直ぐに朱雀門に進んできたという故事もかくや、と思われた。

森の乱丸は勘のいい者で、「謀反人は惟任めか。出て見てみよう」と目をこすりながら走り出た。
案の定光秀だったので、乱丸は、「皆の者、切って出て手が動く限り戦い、敵を追い払え」と下知した。
当番の者たちは鬨の声に飛び起きて帯を急いで身に回したけれども、太刀を取りそびれた者もいた。
同じところで寝ていた者たちは、一本の帯を、「自分の帯だ」「いやこれは誰々のだ」などと論じ合って、
太刀なども同じように、自分のものだと言い争い、奪い合う者もいた。
また太刀を抜いて出てみると、後から鞘だけを持って追いかけてきたりする者もいて、
慌てふためいているところへと、明智勢がここぞとばかりに攻め入り、散々に切り立て、突き伏せる。
寺にいた兵は皆、とても歯が立たないと思うと、向かってくる敵に走りかかっていって切り死にした。

信長は白綾の単衣を着て、髪を茶せんに結い、鑓を提げて廊下へと走り出て、
「せがれめか、せがれめか」と言ったが、
敵が思いもよらず攻め入ってきたせいで抵抗のしようもなかったので、自害をしようと決めたのだろう。
信長が中へ入ろうとするところを、光秀の郎党、天野源右衛門が、鑓でしたたかに突いた。
信長は深手を負ってしまったので、自害も思うようにできなかったのか、猛火の中へと飛び込んだ。
並河金右衛門が続いて飛び入って信長を引きずり出し、ついにその首を討った。

この二人の者たちは、秀吉が天下の主となったときに、主君の信長を討ったということで大いに憎んだので、
身を潜めて、天野は秀次のもとにいたのだが、あることがあってからは、立花左近の家人となっていた。
並河は加藤肥後守を頼って暮らした。
天野はその後、頬にところに出た瘡を引き抜こうとしたものの、
次第に肉が出てきて治らないので大いに腹を立てて自害したとも、
またその瘡によって死んだとも伝わっている。

さて三位中将(織田)信忠は、惟任が本能寺を攻めたと聞くと、総勢七、八千ほどで打って出、
後詰しようと言い出したが、そのときにはすでに本能寺は落ちて、信長が討たれてしまったと報告が来た。
その方角では猛煙が天に上っていて、実にさもありなんという様子だった。
兵たちは、「今は安土へ引いて再度勢を整え、光秀を滅ぼしてください」と諫めたが、
信忠は「いやいや、これほどの謀反を企てたほどの光秀は、幸いにも坂本を知行しているのだから、
宇治・瀬田を固めていないわけがない。
野の果てや山の奥で迷い、雑兵の手にかかってしまえば、遠い未来までの武名を傷つけることになろう。
ここで討ち死にしよう」と言う。
さすがは一度天下の部門の棟梁となった器が備わっていると、諸軍勢は感服した。

信忠は、ここから引き返して二条の新御所に籠もったけれども、
七、八千の税も散り散りになって、最後には五百ほどしかいなくなってしまった。
惟任も、「敵に時間があれば、あちこちから勢を集めてくることもあるだろう。
早く攻め入ってしまおう」と取り囲む。
御所に籠もった者たちも、兼ねてから覚悟していたことなので、死狂いに切って出ると、
敵を追い出そうと火花を散らして防ぎ戦った。

惟任は床机に腰をかけて軍の下知をしていたが、京童たちがさかしらにも、
「天下が御手に入り、おめでとうございます」と、早々に酒などを持ってくる。
日向守は「祝着である」と、酒を盃に引き受けてぐいぐいと飲んだ。
しかし一滴も咽喉には入れず、鎧の胸板を伝って流れ落ちるようにした。
これを見て、小賢しい者たちは、「惟任は一度天下をとろうとも、保持することはできまいよ。
生まれつき肝が小さいやつだ。
今回の合戦が身の浮沈に関わると思い入れているから、胸がふさがって酒を一滴も飲めないのだ。
小国の主にふさわしい。天下の武将の器ではないわ」と言ったが、果たしてそれがよくわかる結果となった。

こうしたところへ賀仁(可児)才蔵が、笹の葉の指物で走り寄ってきた。
「どんなに攻め入っても、城中の守備が強くて打ち破ることができません」と言うので、
日向守はハタと睨んで、「この程度のところを攻め破れないなどと言うやつがあるか。
そのような臆病者は踏み殺してしまうぞ」と激怒した。
才蔵はそのまま走り帰ったが、やがて攻め入って乱戦になると、信忠朝臣は潔く自害した。

さて惟任は二十七日(十七日)の間天下の権勢を握ったが、京都の棟別の税金を赦免した。

※これについては、遠国のことなので詳しくは知らない。
 天野源右衛門が文禄のころに高麗で語ったことを伝え聞いて書き記している。
 並河は近頃まで存命していた。
 信長の首が見つからなかった、と書いている記録もある。
 これは信長の威を強調するためにそう書かれているのか、事実ではないかもしれない。


以上、テキトー訳。この章はおしまい。

なるほど、出典てのは特になくて、ソースは天野源右衛門、てやつなのね。
信長が首取られてるからけっこう驚いたわ。
そんでもって首がなかったという説についても付記で説明されてて、
こういう書き方は面白いね。
正矩お得意の「遠方のことなので詳しく知らん」が出たけれども、
まあ普通はそうだよね。

さて、次章も信長の話らしい。
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