FC2ブログ
2012-11-04

立原の静、鹿介の動

だいたいの流れ:
京都に集合した尼子勝久・山中鹿介・立原源太兵衛尉らはひらめいた。
「元春が倒せないなら隆景から攻めればいいじゃない。そうだ、播磨行こう!」
そんなわけで毛利方の宇喜多直家が兵を置いている上月の城に攻め寄せた鹿たちは、
恐れおののいて守将が逃げ去った上月城に難なく入ることができた。
直家から放たれた先陣は夜討ちで追い払ったものの、直家が数万で出張ってくると聞くと、
兵力差を懸念して一旦城を引き払うことになった。


秀吉、上月の城を落とすこと、付けたり勝久再びこの城に入ること

尼子勝久が上月の城を去ると、宇喜多直家が上月十郎(景貞)・矢嶋の何某(五郎七)を差し籠めた。
羽柴筑前守が二万余騎を率いて打って出、また上月の城を十重二十重に取り囲んだので、
城中の兵たちはたまりかねて、上月・矢嶋を差し出して、
残った者たちの命を助けてほしいとしきりに赤手を摺って頼み込んだ。
秀吉は絶対にこれを許さず、ことごとく生け捕って磔にかけ、蓑笠を着せて
「上総踊りというものでもやらせよう」と、火をつけた。
いっせいに「ああ熱い」「堪えられない」と叫ぶ声が上がり、
これを見る人々は、「これが本当の叫喚地獄の罪人の苦難だろう」と、
気持ちが落ち込み胸がふさがってしまう有様だった。
そのことがあってから、ここを「張付谷」と呼ぶようになったそうだ。

こうしてこの城に誰を差し籠めようかと思案しているとき、
山中鹿介が「私がまた立て籠もろう」と言い出した。
しかし立原源太兵衛尉がこれを強く諫めた。
「上月へ籠もるのは非常に難しいと思う。
この城は地の利があるわけでもなく、それほど険難でもない。
とりわけ道筋に張り出している美作との境なので、少勢はとても持ちこたえられないだろう。
私部の城の二の舞になってしまう。

私が考えたところ、宇喜多は先月、上月・矢嶋を殺された遺恨が胸裏に溢れているはず。
だから今度は、吉川・小早川を引き出してきて取り囲んでくるだろう。
そうなったら、味方は根絶するまで討たれ、将来に尼子の子孫を残せなくなる。
もう少し時機を見計らったほうがいい。
信長と輝元の和睦が破れたのは、当家にとって幸いだった。
きっと因幡・但馬・備前あたりで存亡をかけた一戦があるはずだ。
天下の将が一軍の将と戦うときには、天下の将が勝つものだ。
今は信長が天下の将だ。どうして毛利・吉川・小早川と戦って負けることがあろうか。
いかに智勇全備の両川といえども、大敗した後は勇も衰え智も磨り減って、
ただの凡庸な将になり下がるだろう。
もうしばらくは毛利家の戦の成り行きをうかがってみよう」

鹿介はこれを聞いて、「いやいや、そうではない。
この城が道に面しているからこそ、我らが立て籠もって美作方面からの往来をさえぎり、
信長卿への忠勤とするべきではないか。
信長と輝元の和睦が保たれていたときこそ、吉川・小早川に取り囲まれる恐れもあったが、
今は対立しているのだから、たとえ中国勢がこぞって我らを取り囲んだとしても、
秀吉が中国一円を与えられていて、見捨てられることはない。
もし秀吉一人で解決できないのであれば、信長を引き出してくるだろう。

城中にも有能な兵が二千余人もいれば、どんなに攻められても容易く落ちることはない。
信長卿は大勇将なのだから、かかって一戦するとなれば、吉川・小早川の敗走は間違いないだろう。
このときに毛利の根は絶たれ、必ず葉まで枯らしつくされる。
これぐらいのことはどんな凡庸な将や愚かな将でも知っているはずだから、
元春・隆景がこの程度のことを知らないはずがない。
ここまで遥々打って出てくることはまずあるまい。
だから我らが上月に籠もり、美作に切り入っていくのには何の心配もいらない。

宇喜多はもともと非常に卑怯な者なのだから、やがて毛利家の武威が衰えれば信長卿に属すだろう。
宇喜多が心変えすれば、備前・美作はことごとく毛利家に背く。
それから美作を経て出雲に入るのに、なんの邪魔も入らないはずだ」
と具体的に説明すると、勝久をはじめとして皆この意見に賛同した。
立原は「飛ぶ蛾が明かりの火に身を投げ、赤子が井戸に入っていくように、
運のきわまった者たちがこのような振る舞いをするとは口惜しい」と呟いた。

そして上月に立て籠もったのは、勝久を大将として、一族からは尼子助四郎氏久・日野五郎、
侍大将は山中鹿介・立原源太兵衛尉をはじめとして福屋彦太郎・亀井新十郎・吉田三郎左衛門・
河添右京亮・同三郎左衛門・同次郎左衛門尉・米原助四郎・目黒助次郎・月坂助太郎・平野源介・
屋葺右兵衛尉・津野守宗兵衛尉・宇山弥太郎・三吉五郎左衛門・小林神介・神西三郎左衛門・
熊谷(くまたに)新右衛門・大塚弥三郎・日野又五郎・田原右兵衛尉・太野平兵衛尉・
福山弥次郎・同内蔵丞・青砥助次郎・中井与次郎・片桐治部丞・渡辺内蔵助・江見平内・
加藤彦四郎・妹尾十兵衛尉・池田縫殿允・本田平十郎・野津次郎四郎・江見九太郎・
同源内左衛門・加藤新右衛門・安達治兵衛・弟の同慶松・目駕田采女允・同段右衛門・
寺本市允・法城寺理安・新藤勘介・秋里目・進左吉兵衛尉・馬田長左衛門・山佐民部太輔・
古志九郎次郎・高橋佐渡守など、屈強な兵が二千三百余騎が立て籠もった。


以上、テキトー訳。

相変わらず秀吉コワイっすねー(白目)。
天下人になってからラスボス化したんじゃなくて、
もともとそういう性質の人間だっただけじゃねーのかと。
こういう皆殺しが当時どれくらい人道に外れていたのかはよくわからないけど、
初めてシメる土地で徹底的に抵抗勢力を血祭りに上げるのは、
その後の支配しやすさを考えてのことなんだろうなー、などとぼんやり思った。
見せしめだよね……初めにこんな怖いことされたら、抵抗する気力も殺がれるわ。

そして久しぶりの尼子勢。立原源太兵衛が相変わらず苦労人でいい味出してるなぁ。
いっつも立原の言葉をちゃんと聞かない鹿ちゃん。
いや、ちゃんと聞いてはいるんだろうけど、意見を採択したりはあんまりしないイメージ。
謀略も戦闘も自分一人で仕切って突っ込んでくイメージなんだよな。
だからこそ鮮烈なのか。
どうでもいいけど、影の薄い勝久が輝元ちゃんと重なって涙が出らぁ(´;ω;`)
この二人は言いお友達になれ……そうもないか。

さて次章は、元春と隆景がゴタつくようだぞ! 期待!
スポンサーサイト



検索フォーム
カレンダー
10 | 2012/11 | 12
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
訪問者数