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2013-04-16

輝元さんの縁談の進め方①

すっかり書状にはまっております(・`ω´・)
今回は、輝元から秀元宛の書状の案文。
元和二年、輝元の娘の竹姫を広家の息子の広正に嫁がせることになって、
秀元の了解を得るための手紙の下書きらしい。

今日は元就じいさまの西暦の誕生日だって!?
おめでとう! こんなお孫さんを育ててくれてありがとう!!!


●毛利輝元自筆書状案(毛利家文書1188)

※この書状案は、元和二年に輝元から秀元に送られた書状の案文である

こちらで直接話をしようと思っていたが、
おまえが上国していたときには別のことで忙殺されていたので、遅くなってしまった。
内談したいことがあるので、この者を差し下す。

お姫の身上のことだが、二の丸でのときに、
おあちゃ様(阿茶局)にお任せしようということになった。
あるいは家中で縁組をすることになったなら、
おまえ(秀元)の子息などへこそ嫁がせるのがいいのだろうが、
おまえにはまだ子息がないので、そうすることもできない。

以前、広家が自分の息子とお姫を結婚させてほしいと言っていて、
そのときは、お姫を家中に置くことに決まったらそのときに申し入れてくれと答えていた。
最近は広家からその話を持ち出してくることはなかったし、
また公儀からの縁談があるかもしれないので、承知しておいてほしいと申したところ、
広家はこう言ってきた。
「そうなっても少しも異論はありません。
御家のためですから、ともかく大きな利点を優先すべきだということは
少しも忘れてはいません」とな。

それに、宗休(毛利元政)に対しておまえが内々に、
「どこに遣るにしても、よく調べないといけない」と言っていたが、
そのとおりのことも言っていた。

最近の情勢は、他家も当家も安泰とは言えない状況だ。
前もって周到に準備しておかなければならない。
あのお姫は、体も弱いし異常なほど気が短い。
他国などへ嫁がせるのは、あまりに気が引ける。

男である秀就でさえ、縁辺などを結んで後悔しているのだ。
何かよくないことをしでかして、家の崩壊を招かないかと、日夜心配で仕方ない。
このうえ、あのお姫を他国などへ嫁がせ、もし何かあれば、
女の身であるのだから、取り返しのつかないことになるだろうし、これでは老後の心配が絶えない。
他国への縁談は、まず考えられないのだ。
となれば、家中に置いておけば、それほど大事にはならないだろうから、そうしようと思っている。

こう言うと、私が最初から広家に嫁がせたくて、そのように運ぶために、
こんなことを言っていると思われるかもしれない。
しかし神に誓って、そういうこではないのだ。
もうおまえには私の心の内がわかっているだろうから、
私の言っていることには納得できないかもしれないが、私の身にもなってみてほしい。
藤七郎(秀就)のことだけでも困り果てているというのに、
お姫まで事情を知らない人と所縁を結んでしまえば、家が滅亡してもおかしくない。
まったく進退きわまるとはこのことだ。朝に晩に、それはそれはヒヤヒヤしているのだよ。

お姫が丈夫で心穏やかであったなら、心配があっても望みもあるだろうに、
体も弱く、正気ではない気性に生まれついてしまった。これは一大事なのだぞ。
家中の者であっても、誰かに嫁がせるのは遠慮したいくらいだ。
このあたりで、心の奥まですべてさらけ出して相談しておきたかった。

というわけで、広家のところに嫁がせることにする。
こちらの手元に置いておき、どうもうまくいかないようであれば、
私の元へ呼び戻すのもやりやすい。
おまえに子息がいれば、こんなに悩まなくてもすんだかもしれない。
これも私の運の悪さだ。

お前と私の仲のことは、どんなに離れていても、
心は隔てないと神文に誓ったし、その言葉に嘘はない。
だからそのことは全く心配しないでほしい。
私が生きているうちは、おまのことは何なりとも
希望に沿うように協力することは言うまでもない。


以上、テキトー訳。

ポイントとしては、
①竹姫は阿茶局(徳川家康の側室)に縁辺をまとめてもらう予定だった。
 ※阿茶局は、数年前の秀就の縁辺を取り仕切ってる
②竹姫は生まれつき体が弱く、さらに何らかの精神疾患を抱えていた。
③輝元としては、竹姫を他国に嫁がせれば家の滅亡を招くと考えて、
 何かあっても姫を連れ戻しやすいように、家中に嫁がせるつもりでいる。
④竹姫の嫁ぎ先としては秀元のところが理想的だが、秀元には子息がないので、
 広家も望んでいることだし、広家のところに嫁がせる。
⑤公儀から縁談があれば、家のためにしかるべき措置を取ることに、広家としては異存がない。
⑥秀元のことは、今までと変わらずに大事にするよ!
というあたりかな。

なんとなく言い訳がましいというか、
「これしか方法がないんだから、内心反対でも了解してね!」
という心情が見え隠れするというか。
私も翻刻しか読んでないわけだけど、けっこう推敲の跡があって、
輝元がずいぶん気を遣ってる様子が見て取れるw
秀元と広家は、方や廃嫡されて別家になったとはいえ輝元の養子、
方や毛利両川と謳われた吉川家の当主で、
協力しつつも反目し合う、運命のライバルといったところかな。
仲が悪かったようで、慶長10年末ごろに輝元の仲介で和睦してるのね。
その一方に姫を嫁がせるとなれば、そりゃもう一方に気を遣うよな……w
たぶんそれだけじゃないんだろうけど、私の理解がついてゆかないので、そういうことにしとく。

これと比較しいたい書状があるので、次回も書状を読む予定。
今後更新が滞ったら、どこかでつまづいているということですw
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