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2012-03-19

冷泉民部の恋患い

今回は、朝鮮は蔚山城の攻防戦で戦死した、冷泉元満のちょっとしたエピソード回。

冷泉、化け物を突き殺すこと(上)

冷泉民部少輔(元満)は何度も武名を世に顕した、世に類なき勇士だったが、
そのなかでも不思議な手柄だったのが、去る天正年中に恐ろしい化け物を突き殺したことだった。

詳しい話を聞いてみると、民部少輔は長年連れ添ってきた妻と死に別れ、
それからは寂しく独り寝に甘んじてきた。
親しく話すような友達などは、後妻をもらえばいいのにとせっついてきたが、
これという女もいないので、「そうだな」などと空返事をしながら、年月ばかりが経っていった。

そんなころ、家人の伊賀崎入道の娘が、とても清らかな容姿で心栄えもまたすばらしいので、
民部はこれに心を寄せていった。
どこか他所から妻をもらうよりは、この女を妻に召し置きたいと考えて、気の知れた若党を呼び寄せて、
「この通り言い聞かせ、彼女の心を引いてこい」と命じる。
若党は「かしこまりました」とこっそりその女に近づき、
「殿がこう仰せである。ともかくも仰せに従ってくれ。
もし殿のお心を無碍にするなら、おまえのことはさて置き、父の入道殿のためにもよくないだろう」
などと、脅しすかしながら誘った。
女は頬を赤らめて、返事もせずに立ち去ってしまった。

若党がこのことを民部に告げると、
「なかなかに心深くしっかりした心栄えの女ではないか。
終生の寄る辺として頼むにはこういう女がいい。見た目ばかりが艶やかであっても、
あまりに不誠実であってはよろしくないと思っていたところだ」と、
なおさら恋しさが増してゆき、その女の俤が身にぴったりと添うような気持ちすらして、
ひたすらに態度を明らかにして恋しい気持ちを書き送り、その文も千束以上になった。

しかしこの女房はなかなかに手ごわく、民部もなかなか落ちなくとも諦めたりはしない。
それにしても一途に想う心は岩をも貫通していくものだというのに、なかなかに難しい。
この女は他所の家の者でもなく、身分的にふさわしくない相手でもない。
自分の家来の娘なのだから、あまりもったいぶるようなら無理やり迎えにいこうと思いながら、
そうすると世の人の噂というものは虎や狼よりもなお恐ろしいので、浮名が立つのも口惜しく思った。
まずは何度か女を慰めなだめておいて、少し心が和らいだところで父親に頼んで妻に迎えようと考え、
一途に恋い慕って独り歌を詠みながら夜を明かして暮らしていた。

あるとき、宵のころから雨がしめやかに降って、灯の影がなんとも妖しく揺れる晩、
民部は「松風のさと音信ければ、早晩聞物とや」と独りごちて、
枕に寄りかかるにも、「今ぞ知りたるしき物」と、古い歌謡を口ずさんだ。
「今夜の雨はひときわ寂しい。
光源氏と頭中将が女の品定めをしたというのも、こんな雨の夜だったのだろう。
私が想う女はどんな品であろう」などと物思いしているうちに、
ふと眠気が襲ってきて少しだけまどろんだ。

そのとき、誰ともわからない者が部屋の戸をそっと押し開け、民部の枕元に立った。
民部はさすがに恥ずかしそうに驚いた様子だったが、何も言わずに相手を見れば、
想い焦がれ、恋い慕った俤がそこにはあった。
普段見るよりもいっそう優雅で、夢ともうつつともわからぬまま、その女を見つめる。

民部はあまりの嬉しさに、小声で「なぜここに!」ともらし、
女の袂にすがって「これまでよくもつれなくしてくれたな。
しかしその恨めしさも、今こうして逢えたのだから、喜びに変わる」などと語りだす。

女は、「最初のころは、慎ましさが大切だと思って返事もいたしませんでした。
しばらくしても繁々と御文をくだされるので、返事を申し上げたいと思うようになりました。
それに大事な主君の仰せですので、私は女の身ではありますが、
どうしてそのような方のお心を無碍にして、仰せに背くことができましょう。

そうは思っても、飛鳥川の流れにもまして変わりやすいのが殿御の心と聞いております。
軽々しくお返事しても、
『色見えで(本歌:色見えでうつろふものは 世の中の人の心の花にぞありける(小町 古今集)』
と詠んだ小町の歌の心さえ、この身の上に重なるように思えました。

もし他所に浮名がもれ聞こえてしまえば、千度も百度も悔いたところで甲斐もなく、
また父母がなんと仰せになるかもわかりません。
心が迷うまま、打ちすごしてきてしまいました。
それでも私のおろかな心で繰り返し考えたところ、親の戒めを破るのは五逆の罪です。
主君の仰せに背けば鉢逆の罪を負います。
だから罪の軽い方を選ぼうと思い、慣れ親しんだ親の戒めに背いて、ここまで参りました。

あなた様のお心に従おうとすれば、青い海よりも深い親の恩を知らぬがごとし。
また親の戒めを守ろうとすれば、九天よりも高き主君のご恩に報いることができない。
それにつけても恨めしいのは女の身です。
今あなた様のお心に従えば、両親の戒めを破ることになるので、
今生はさて置くとしても、来世までも罪深き奈落の底、黄泉の国に沈み果てることとなりましょう。
これはいくら嘆いても足りるものではありません。
このことを申し上げるためにここまで参りました。
ここでお別れを許していただければ、主君のお心を破ることもなく、親の戒めにも背かずにすみます。
そうなれば後生にも及ぶご恩になるのではないでしょうか」と涙を流した。

その儚げな姿は、なんともいえぬ色香の桜花が、
晴れることのない春の雨に楚々と打たれ潤っている様子と寸分たがわなかった。
信実の思いをもたずに強情にしているよりは、ずっと見所があるように思えた。

民部はもっともな道理を突きつけられても、なお気持ちが揺れ動いて、
何かを言うのももどかしいと感じ、そ知らぬ顔で夜の衣を引き重ねて語らう。
するとさらに強く心惹かれ、鳥の声が聞こえ始めるあわただしい夜明けごろになって、
露の命のように短い間の契りも夢かまことかはっきりと確信が持てないまま、
人目につくのを避けて忍んで帰る女と涙ながらに立ち別れた。


以上、テキトー訳。つづく。

ちぇっ。なんだ、またリア充かよ。はいはい、爆発爆発。
ところで化け物マダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン

まぁそれほどリア充とは言えないのかもしれない。現代の感覚では。
「殿のお気持ちに応えなきゃ、おまえの父親がどーなってもしらんぞ」と脅迫されて
頬を赤らめる娘ってどんな??? 脅迫されてるんだよお嬢さん???
それとも脅迫するほど強い気持ちと解釈するんだろうか。ヨクワカラナイ。

簡単になびかない=慎ましやかでしっかりした心栄え、というのはわかった。
ひたすら手紙を送って口説くとか、まったくどこの平安貴族なんでしょうね!
恋愛ゲームを上手にできる人はさぞ人生楽しいんだろうなぁ。
私は恋愛ゲームより知識欲に走るタイプだと今回身にしみてわかったので、
べ、べつに羨ましくなんかないんだからねッ!
本読んだりして好きな世界に思考を馳せてるときが一番幸せなんだもんね。
こりゃ結婚できんわwww

また今日も本を衝動買いしてしまったんです……
昼休みに密林眺めてて「欲しいな~」と思った本が、帰りに立ち寄った書店に置いてあるとかね!
これはもう運命だと思ってお持ち帰りするしかないよね!!!
夏にボーナスもらえたら、萩藩閥閲録を購入したいな、なんて☆
山口県史の史料編とか、その他研究書も興味アリアリだったり。
小説の類は図書館で借りよう。
それにしてもいつ読む気だ。まだ陰徳記すらまったく読み終わる気配がないのに。

とりあえず次回も続きだす。
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残念!
民部さんは紳士的なのか奥手なのかw
源氏物語だと、二人きりになった途端、この時を待っていたあ!!とばかりにヤっちゃうのにwww
そしてなぜ早く親に渡りをつけない?
世間体を気にしてって相手は部下じゃん。
もうシャイ丸出しで完全に娘の手の内!アンタいいように遊ばれてるよ!!
って思うのは私だけですか?
民部さんは無事汚名返上できるんでしょうか?
気になって眠れません(´Д`)

寝てくださいw

民部的には先に娘といい仲になる→親に申し入れ→渋られても娘から説得
という絵を描いてたんですかねぇ。
部下といっても、この時代は無理強いすると反逆したり出奔したりするらしいので、
信頼関係を崩すわけにはいかなかったんじゃないでしょうか。
家来の娘となると、正室扱いは難しそうですし。
娘とのことは……続きを読んで、ご愁傷様としか言いようがありませんwww
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