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2011-09-16

三浦越中の最期

前回のあらすじ:
陶入道を逃がす時間を稼ぐため、三浦越中守率いる30人ばかりは、
追っ手の小早川勢数百と対峙、
山道の隘路を生かし、決死の抗戦によって隆景を危機に追い詰めた。


毛利右馬頭元就、厳島へ攻め渡り同所で合戦のこと(11)

元春のところには伝令が来ていた。
「三浦越中守が数百騎を引き連れて取って返しており、
隆景様が危険にさらされています」と聞き、
元春は「隆景を死なせるな。急いで駆けつけろ」と手勢に命じた。
若く健康で足の速い者を先に立たせ、元春自身もあとから急いでついていく。

我も我もと息が切れるほど走っていき、
粟屋源蔵・清長新三郎・樋口彦三郎・二宮七郎兵衛尉などが真っ先に駆けつけた。
三浦はこれを見ても動じず、乱暴に突きかかる。
粟屋の郎党は主を討たせまいと立ちはだかり、たちどころに三人が討ち死にした。
清長新三郎は深手を負った。樋口彦三郎は矢に貫かれて死んだ。
粟屋・二宮とも、心は猛々しく勇んだが、味方がこれだけ討たれてしまうと、
追い立てられて近くの山中に引き退き、味方が追いついてくるのを待った。
ここに吉田衆の内藤内蔵丞、吉川勢の二宮杢助・井尻又右衛門、
高弥三郎らが駆けつけた。

そのころには、三浦越中守の兵たちも討たれたり逃げ出したりなどして、
すでに三浦一人になっていた。
三浦は坂を駆け下り、日輪の立物も抜き捨ててしまって、
地に突き立てた一枚楯にあごを乗せて大きく息を継ぎ、一休みしていた。
そこに敵が来るのを見ると、にこりと笑って
「味方にてございます。考えなく襲ってこないでくだされ」と言葉をかけた。
けれども、「味方にて」の「て」の響き、
「せ」の字が濁ったように聞こえるのは山口の方言である。
三浦の言葉は紛うことなき山口調だった。

有名な三浦越中守に違いないと思った二宮杢助は、
三浦の前に倒れている大木に槍を凭せ掛け、
「味方なら合印をしているだろう。見せろ」と言った。
三浦は「これを見てくれ」と楯の外に具足の上巻を少し出すと、
素早く楯の向こうに引っ込んだ。
「そのようなやり方ではよくわからない。もう一度見せよ」と杢助が言い、
内藤内蔵丞が後ろから射掛けた矢が三浦の綿入れの上に突き刺さった。
同じように高弥三郎も射掛け、これも同じところにグサリと刺さったが、傷は浅い。

三浦もひるまず、「憎たらしい賊のようなやり方だ。味方だと言っているだろう」と、
そばに置いてあった二間柄刃渡り一尺の槍を構え、ひらりと躍り出て、
「三浦越中であるぞ!お手並み拝見!」と突きかかった。
杢助は元から手近に置いておいた槍をさっと構え、
すぐに渡り合って散々に突き合った。
三浦の槍は短く、二宮の槍は三間柄だったので、
ややもすれば三浦の手元をかすっていく。
越中守に続く味方はなく、敵の数は多い。
もはや敵うまいと思ったか、槍を突き投げた。
目のいい二宮はひらりとかわし、
カラリと足元に転がった槍を、吉田衆の転右衛門が取り上げた。

突き損じた越中守が今度は太刀に手をかけ抜こうとしたところに、
二宮が左の脇から右の肩先へとズンと突き通す。
鬼神のようなさしもの三浦もガバッとうつ伏せに倒れた。
そこに井尻又右衛門がそのまま取り押さえて馬乗りになったが、
霜が降りてぬかるんだ地面で三浦が抵抗を続けていると、
すぐ下の谷底へと滑り落ちた。
内藤内蔵丞が駆け下りて待ち構え、三浦の首を掻き切った。
井尻は三浦の首を取り損ねたものの、こうなってはもうどうしようもないので、
取っ組み合いに勝ったせめてもの証拠にと、三浦の太刀を持ち帰った。

陶入道全薑に、厳島に渡るよう勧めたのはこの三浦であったが、
合戦で口ほどもなく負けたのを無念に思ったのか、踏みとどまってその勇を示した。
また、入道と三度までは討ち死にしないと約束したのを守り、
三度戦ってついに一歩も引かずに戦死したばかりか、多くの敵を討ち取った。
なんと血気盛んな勇者であろうかと、人々は皆感じ入った様子であった。

こうして所々で戦っている隙に、
船に乗り遅れた兵たちはこどごとく峰や谷に分け入っていった。
あるいは岩の張り出した木の陰に身を隠している様は、
狩場の犬に怯える山鹿にも似て、なんとも惨めなことであった。


以上、テキトー訳。この段はこれでおしまい。

三浦さんが「これを見てくれ」と言ったときに、思わず
「こいつをどう思う?」と付け足したくなったのはニコニコのせい。
そうなると、杢助が「すごく・・・見えづらいです」と返すのかなw

三浦さんも阿部さん並みの「いい男」だなぁ。
最後の最後まで踏ん張って、一人になっても戦って、
できる限り敵の足止めをしよう、大将がその分遠くに逃げられるなら、
卑怯に嘘もついて、命が続く最期の瞬間まで、足止め役を全うする。
元春・隆景がすっかり霞んだよー!!!

さて次からは、このまま陶入道の最期まで読み進めていきたい。
やっぱり順序どおり読んだほうがわかりやすいなw
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