FC2ブログ
2012-08-31

すれ違い、両川

だいたいの流れ:
尼子再興軍に悩まされるも、主力を投じた合戦に勝利した毛利勢。
それほど恐れる勢力でもないとはいえ、勝久・鹿介などといった中心人物が抵抗を続ける。
元就の具合が悪化したので、輝元・隆景・元長は芸陽に帰り、
出雲では元春が尼子残党征伐のために残っていた。

今回は北方ではなく、南東の備中近辺の情勢。
重々しく長い章なので数回に分けて読みます



三村一家滅亡のこと(上)

備中の国に住む、三村修理進家親の子の元親・実親という者がいた。
父の家親が先年、宇喜多和泉守直家によって殺されると、この兄弟二人は芸陽へと使者を遣わし、
「親である家親は毛利の味方になり、これまで忠勤を貫いてきました。
その父が、宇喜多直家に騙されて、残念なことに討たれてしまいました。
宇喜多は父の敵ですので、どうにかして宇喜多を滅ぼし、この恨みを晴らしたいと思っております。
しかし我ら兄弟の力だけでは、なかなかこれを果たしえないでしょうから、
どうかどうかお力を添えていただきたい。
宇喜多を滅ぼし、父の没後の恨みを晴らし、我らの今生の鬱憤を散じたいのです。
家親の忠志をお忘れになっていないのでしたら、ご憐憫をかけてください。
この二人もさらに毛利家の御ために働き、忠節を尽くします」と、元春に泣きついてきた。

浦上帯刀左衛門宗景も、
「宇喜多は主従の序列を乱し、不忠な暴虐をたくらんでいます。
これを滅ぼしてくださればお味方につきましょう」と嘆いていた。

そうしたところに、宇喜多直家はこのことを聞くと、
毛利に睨まれてはひとたまりもないと考えて、洲波隼人入道如慶という者を隆景に遣わし、
また安国寺恵瓊を深く頼って、
「三村・浦上を退治し、備中一国をすべて輝元へと差し上げようと思います」と訴えてきた。

元就様は老衰のうえに病も重くなり、少し耄碌してきたこともあったので、
だいたいのことを聞いただけで、「隆景・元春の二人でよく話し合って、よいように取り計らえ」と言った。
このことは、この年の春から夏にかけて、出雲で何度か会議があったけれども、
「南表の軍事に関しては、とにかく隆景の裁量に任せよう」と輝元様が言うので、
三村・浦上を見捨てて、宇喜多に協力することになった(元亀三年十月か)。

元春はこう言った。
「宇喜多和泉守は卑怯極まりない佞人だ。
今は毛利家の庇護を得て自分の敵を滅ぼそうとしているが、自分の軍事力が十分強くなったなら、
しまいには当家の敵になるはずだ。
良将は災いの芽がまだ出ていないうちに察すものだという。
今に見ていろ、宇喜多は敵になるに違いない。

三村家親はあ元就がまだ芸陽の半国さえ手に入れていないときから幕下に属し、
忠戦を貫き、備中の郷を帰属せしめてきた。
このおかげで毛利家の武威は東南に浸透し、
備中・備前・播磨・美作の四ヶ国をすべて手に入れることができた。
これはひとえに三村の忠節によるものだ。
これほどの忠功の者だというのに、その子孫を見捨てて直家のような佞奸の輩を受け入れるとは何たることだ。
宇喜多はおだて上手で、弁舌も飛びぬけてうまい。
真面目な顔をして言葉を卑しくしながら人をたぶらかすのは野狐よりも得意だ。

元就は病気になって久しいしご老衰もはなはだしい。
このことを申し上げれば、それでも三村を見捨てようとはなさらないだろうが、
この六月から少し霍乱のように患ってから、お心もますます弱っていらしたようだ。
それに私は北方の敵を成敗するためにこの国(出雲)に駐屯しているから、
直接この道理をお話しすることもかなわない。どうにかして勝久を一日も早く退治して、
吉田に帰って、元就が老いでぼけることが少ないうちに、このことを申し上げたい。

しかしながら、一昨年以来のご老衰を思えば、たとえあと二年ほど永らえたとしても、
このような道理などは、簡単には聞き分けてくださらないかもしれない。
この過失は隆景が間違ったからではない。元就がすでに老いぼれてしまったからだ。
これからの毛利家の武運が、順風にはいかないという印なのだろう。

きっと隆景は、あの安国寺とかいう佞僧を重用してしまったから、こんな間違いを犯したのだろう。
宇喜多があの僧に金銀を与えて平身低頭したからこそ、
あの恵瓊が直家を引き込んでこんな計略を立てたのだろう。
隆景と私がこの世に生きている限りは、あの佞僧が災いをなすこともそれほどないかもしれない。
しかし我ら二人が老いて死んでしまえば、恵瓊が毛利家の災いになるのは目に見えている。
毛利家の武運は下り坂になってしまうかも知れない」

元春がこう涙を流すと、御前に侍っていた者たちたちは、
「元春様はなんと大げさなことを仰るのだ。
直家は終始忠勤を貫き、毛利家のためによく働くかもしれないではないか。
また三村・浦上が急に敵にならないとも限らない。
未来のことは神や仏や天狗などでなければわからないと聞いているぞ。
人間の目で見えるものではないだろう」と白々しく思ったが、
上月の開陣のときには、「良将の予言は仏神さえも超越している」と皆が思い知ったという。

さて宇喜多和泉守直家は隆景に申し入れて、備前・美作の兵を集め、
才田の城に籠め置かれていた三村の軍兵を攻めようと、総勢八千余騎でひしひしと取り囲んだ。
持ち楯や掻き楯を突き寄せながら攻め近づいていくと、城中はひどく難渋した。
三村は独力ではどうしようもないと思い、穂田の庄の式部少輔元祐に助けを求めたので、
元祐は二千余騎で後詰して、元親に先立って才田表へと出陣していた。
浮田はこれを見て、「後陣の三村が到着しないうちに元祐を討ち果たせ」とばかりに、すぐに攻め寄せた。

元祐は至強の者だったので、たちまち宇喜多の先陣・二陣をあっという間に突き崩した。
しばらく馬の息を休めて扇を使っていたものの、乗っていた馬がひどく丈夫だったのか、
どうしたことか不意に駆け出して、一直線に敵の真ん中へと駆け向かっていく。
元祐はもともと乗馬をたしなみ、そのうえ荒馬を乗りこなす名人だったが、
運が尽きたのか、元祐が手綱を引いても止めても馬は止まらない。
何くれとしている間に敵の真ん中に来てしまったので元祐はすぐに太刀を抜いて切ってかかった。
宇喜多勢はこれを見て、「なんと、これは元祐本人だ。討ち漏らすな」と色めき立ち、
我先に討ち取ろうとしてくる。
元祐はこれらと渡り合って、左右両方に敵を受けても散々に渡り合い、十数人を切り伏せて、
そのままついに大勢に囲まれて討たれてしまった。

こうなると、才田の城も程なく落城した。それでも三村を退治せよという命令は下らない。
そこで宇喜多直家は、隆景へと「三村兄弟は阿波の三吉に一味しています」と讒言を吹き込んだ。
また三村の家之子で三村孫兵衛尉という者が、元親・実親と不仲だった。
この孫兵衛尉は自分の主君を滅ぼしてその所領を申し受けようと考え、隆景へと
「主君の元親・実親は輝元様を恨んでいて、阿波の三吉と一味いたしました。
また信長へも使者を遣わして、今後信長が中国へ侵攻されるときには、
自分が先陣を承って忠節を貫くと申し入れました」と巧みにうそをつき、
まるで本当であるかのように讒言をした。

隆景は、「宇喜多が言うばかりか三村の家之子である孫兵衛尉がこう言うのなら疑いようがない。
では備中表へ出張りして、三村家を退治しよう」と決めた。
出雲へも使者を送って、「新山には押さえを置いて、元春もまずは備中へ出てきてください」と言うので、
元春は「孫兵衛尉は佞臣だ。近年元親兄弟と不和だということは聞いている。
言い分には疑わしいところがある。もう少し備中への出陣を待って、ことの実否をただしたほうがいい。
三村兄弟は、父が無二の味方だったからこそ、子もこの家の『元』の字を申し受けて元親と名乗っている。
私が使者を一人遣わして事の様態を尋ね聞き、向こうがわかってくれたら、
元親・実親の妻子を人質に差し出して無二の味方に参じるように説得しよう。
そうすれば、宇喜多に対する押さえは三村、三村に対する押さえを宇喜多にすることができ、
これから二人はどんなことがあっても逆意を企むことは難しくなるだろう」と制した。

しかし隆景は、「あれこれ引き延べては由々しい大事に至ります」と強く出陣を主張する。
宍戸も「隆景、何の遠慮もいりません。早く打って出てください。
先陣は私が務めましょう。備中一国などあっという間に成敗して見せます」としきりに勇んだ。
結局、三村を成敗するために出陣することに決まった。

そして「孫兵衛尉は味方に属するのか否か、その態度をはっきりさせるように」と
桂善左衛門尉を成羽へと遣わした。
孫兵衛尉はもともと望んでいたことなので、すぐに「味方に参って忠勤に励みます」と、
誓紙を提出して固く誓った。
桂がすぐに吉田へ帰ろうとすると、敵が出てきて妨害しようとしたが、
桂はそれを打ち払って無事に帰着し、孫兵衛尉の言い分をつぶさに伝えた。
それでは出陣しようということになり、元亀元年十二月上旬(天正二年閏十一月)に備中へと発向した。


以上、テキトー訳。続く。

うへぁ……なんかすごいギスギスしてるね。
ギスギスな両川もおいし……くないよ! 胸が痛いよ!
・゚・(ノД`;)・゚・
もう、尼子さんちでいいから、ちこなつください。
読むのが心情的につらいよぅ・゚・(ノД`;)・゚・

備中近辺はホント修羅っていうか、暗殺だの情報戦だの何でもござれで怖い。
いや九州も怖かったけどさ。
なんとも暗い雰囲気が漂ってくるイメージだわ、京都に近くなるにつれて。

それにしても三村兄弟が不憫でならぬ……
父親を殺されたうえに、父が忠節を尽くした毛利は力添えをくれないばかりか、
敵に肩入れするんだぜ……うわぁこれからどうなってしまうの((((((´;A;`))))))

ううぅ、この章はだいぶ長いので数日に分けて読むつもりだけど、
途中でへこたれたらごめんね!
スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

検索フォーム
カレンダー
06 | 2020/07 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
訪問者数