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2012-10-28

乃美さんちの少輔四郎くん

だいたいの流れ:
織田さんちと喧嘩してる本願寺に味方して織田方の水軍を蹴散らし、
織田さんちに追い出された捨て犬もとい将軍義昭を保護した毛利家。
……いよいよ毛利VS織田の全面戦争突入だぜヒャッハーーーー!

とはいえ、合戦の前にいろいろやることがあるようですよ。


乃美心替えのこと

信長と輝元の和睦が破れると、あちこちで小競り合いが頻発した。
備前の国の常山には、浦兵部丞宗勝の嫡子、少輔四郎盛勝が在城(備中宮路山城)していたが、
心変えをしてしまった。

その経緯を聞いてみると、兵部丞宗勝は名高い勇士だったので、
どうにか彼を味方にしようと、羽柴筑前守秀吉は考えた。
「所領をたくさん宛行うので、味方になってほしい」と、
小寺官兵衛尉・蜂須賀彦右衛門を通して言い送った。秀吉からもまた書状を送った。次のとおりだ。

 「始めまして。この二人の申すことについて書き添えておきます。
  あなたのことは、毛利・小早川に対して、何度も忠義を貫いてきたと有名です。
  しかし、つれづれと深く思うこともおありでしょう。
  これから当家に対して忠義を貫いていただければ、お望みのことは何もかも用意いたしましょう。
  末代までご身上が減らされないように、私も可能な限り力を尽くします。
  このことは嘘ではありません。愛宕八幡に誓います。
  なお、蜂須賀彦右衛門・黒田官兵衛尉が申すとおりです。恐々謹言。
   三月十八日     秀吉(判)
    乃美兵部丞殿・同少輔四郎殿 御宿所」

 「始めまして。御両人(乃美兵部丞・同少輔四郎)のことはあれこれと聞き及んでおります。
  飛脚を通じて申し入れます。筑前守(秀吉)は、近日の出張りについて御父子を頼りになさっています。
  これから忠義を貫いていただければ、どんなお望みであっても、
  この両人(黒田・蜂須賀)が馳走いたします。どうか当方に協力してください。
  ご返事をお待ちしております。なお、使者に詳しく申し含めてあります。
  どうかご理解いただけますよう。恐惶謹言。
   三月十七日     黒田官兵衛尉孝高(判)・蜂須賀彦右衛門尉正勝(判)
    乃美兵部丞殿・同少輔四郎殿 人々御中」

このように言い送ってきたが、乃美兵部丞は歯牙にもかけなかった。
ところが嫡子の少輔四郎はつくづくとこのことを思案して、
「たとえ父の宗勝が秀吉に与さなくとも、私は親に隠れて敵に一味しよう。
秀吉が中国に発向してきたときには毛利家を裏切って国主になってやる」と考え、
秀吉へと一味する意志があることをひそかに言い送った。
父の宗勝は智勇全備のうえ将兵の器も兼ね備えている。
だから毛利家に対してこれ以上ないほどの忠勤を貫いたからこそ、隆景にも非常に頼りにされていた。
それなのに、その子供でありながらこのような悪逆を思い立つとは、なんとも浅ましいものである。

こうしたときに、備前の児島の渡し口の見張りとして神田右馬助という者を差し置いていたのだが、
どう見ても怪しげな僧が一人、編み笠を深くかぶり、黒木の念珠をつま繰りながら、
「南無阿弥陀仏」と高らかに唱えて渡し口へとやってきた。
「私は念仏修行の僧でございます。この渡し口にいらっしゃる方々も、
念仏の進めにお入りください」と言う。
右馬助は「いかにも怪しい」と思って、とりあえず中に招き入れた。
この僧は座にどっかりと座り、語りだした。

「私は無縁の衆生を成仏させるために諸国を回っております。
諸仏の誓いは様々あるとは申しながら、弥陀の他力往生の悲願に勝るものはありません。
一念弥陀仏則滅無量材と申しまして、たとえ五逆十悪の罪人であっても、
いっぺんなりとも弥陀仏を念ずればすぐに、これまで積み重ねてきた罪業がすべて消滅します。
三尊の弥陀・二十五の菩薩の来迎があって、弘誓の舟に掉さして安養不退の極楽浄土に
あっという間に往生でき、誰でも天の恵みを受けられるのです。

大聖釈迦牟尼如来でさえ、六年もの間端座して、明星を見て悟りに至り、
達磨は九年も壁に面して座り続けました。
二祖(禅宗二祖、慧可)は達磨に教えを乞うたとき、
弟子入りを許されなかったので雪の上に立ったまま左腕を切り落として覚悟を示しましたし、
そのほかにも六十回も棒で打たれて悟りに到達した人や、水中に沈み溺れて了悟した人もいます。
ずっと昔の聖賢の人々ですらこのように大変なのですから、
ましてこの濁った末法の世、凡夫はどうしたらよいのでしょう。

禅宗が言う、本来無一物のところに仏がいるのでしょうか。どこに衆生がいるのでしょうか。
上には尊ぶに足る仏はなく、下には救うべき衆生はいないなどといって、
ずっと空虚なものを見ているようで、とても痛々しい。
彼らは未来永劫、閻王の鉄の棒によって打ち据えられるのでしょう。
また日蓮宗は念仏無間などと言いますが、非常に強情で、他の宗派のことを口汚く罵詈誹謗し、
自派の説法を声高に呼ばわります。これも地獄を自ら呼び寄せるようなものです。
きっと阿鼻大地獄に落とされて、何年経っても成仏することはないでしょう。
ですから、ただ南無と唱えるうちにすぐ成仏できる浄土宗に耳を傾けて、
念仏を唱えてすがすがしい国へと生まれ変わりましょう」

こう勧められて、右馬助は「御僧の説法で信心がわきました。
あなたの宗門に入りましょう。まずはもっていらっしゃるご本尊を拝むことにいたします」と、
僧の平包みを解いて見た。しかし何も怪しいものはない。
僧がついていた竹杖が気にかかって、割って中を見てみると、果たしてそこには文が入っていた。
右馬助は「これは阿弥陀仏が一切衆生を教化するために書かれた御自筆の回文ですな。
阿弥陀仏の御文ならば、私のような凡夫が見るべきではありません。
大将の隆景にお見せしましょう」と言うと、すぐにその僧を捕らえて沼田の城に引いていった。

その書状を見てみると、阿弥陀の自筆のわけもなく、羽柴秀吉の郎党である、小寺・蜂須賀の書状だった。
その書状にはこう書いてあった。

 「筑前守は近日出馬します。それについて、密約を交わしていただき、
  このお考えは実にありがたく思います。
 一、安芸・周防・長門の三ヶ国をあなたに差し上げます。また黄金五百枚も予定通り差し上げます。
 一、児島に関しては、備州の国内ですので、差し上げられません。
 一、御父上が同心しない場合は、あなたお一人の了解でかまいません。
   そのときには、前述の三ヶ国のうち、どこであろうともあなたの望みどおりに、
   一ヶ国を差し上げます。
 一、金子百枚を用意します。すべての国はお手に入らないでしょうから、
   その島は別状なきよう取り計らわれるでしょう。
   いずれにしても急いで返事を寄越してください。
 一、今回思い切られたほうがよいと思います。
   遅くなってしまっては、せっかくのご忠義が無駄になってしまいます。
 一、東国がすべて織田に滅ぼされたことは、この使者も存じています。
 一、芸州から強く引きとめられたとしても、決して同心なさらないでください。
 一、どうかお急ぎになってください。恐々謹言。
   三月十七日     黒田官兵衛尉孝高(判)・蜂須賀彦右衛門正勝(判)
     乃美少輔四郎殿」※この書状は今でもその家に保存されている

隆景様はこれを見ると大いに驚いて、すぐに父の兵部丞宗勝を呼び、
辺りにいた人々を下がらせて、そっとこの証文を出した。
宗勝は涙をハラハラと流して、
「まことに子の心親知らずと申し伝えられますように、私はまったくこのことに気づいておりませんでした。
しかし、愚息がこのような悪逆を思い立ったことは、
親の身でありながら知らぬわけはないと思し召されることでしょう。
面目もなき次第、言語道断のことでございます。
これから御前にて自害し、ご不審を晴らしましょう」と言った。

隆景は、「いや待て。私はおまえに一点の疑心もないからこそ、
子の逆意を実の親であるおまえに知らせたのだぞ。このことは他に漏らすな。
ただ私とおまえが心を一つにして、何もなかったかのように、
少輔四郎に常山を明けさせようと思っている」と言った。
宗勝はあまりのかたじけなさに、また涙を流したのだった。

そしてすぐに何でもないように装って少輔四郎を沼田に呼び寄せると、
父宗勝の所領に戻し、常山には別の人員を置いた。
少輔四郎はこのような悪逆を思い立った天罰が当たったのか、
やがて病にかかってついには死んでしまったそうだ。


以上、テキトー訳。

一部では暗殺の噂も囁かれている浦盛勝。
タイミングがタイミングだけにな。
タイミングといえば元康・秀包も関ヶ原の翌年に亡くなっているけど、
この二人もまぁいろいろ言われてるよねー(棒)。
個人的には、あの家は粛清なら粛清できっちり記録しているタイプだし、
キーパーソン一人だけ暗殺したところであまり意味もないと思うので、
暗殺ってセンはないんじゃないかと思っている。
話がそれた。

今回のハイライトは涙に咽ぶ宗勝だな……(*´∇`*)ウットリ
智勇全備で将兵の器を兼ね備えている大の男が、はらはらと涙を流す。
いいじゃない! こういうの好きだ!
久しぶりにこう、なんか滾った!!! 主にイケナイ方向に!
またそれた(´・ω・`)

とりあえず、景さままじ景さま!
誰にも言わず兵部と二人きりになってから少輔四郎のことを打ち明け、
「おまえを信頼してるんだよ」ってGAYAAAAAAAA!!!
こりゃ命を投げ出してお仕えしたい主君だね!
私はそれでもどちらかというと吉川家に仕えたいがな(・`ω´・)

そんでもって次章は合戦!
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