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2012-12-14

女たちの主従の契り

昨夜はせっかく本読む機会があったのに、ついったに張り付いてしまってダメにしちゃったね。
とりあえず、岩国空港開港、おめでとうございます!!!
というかありがとうございます!!!!! ヒャッホー!!!!!
それに昨日12月13日は、吉川経家の元服の日でもあったんだね(*´∇`*)

さて陰徳記、これまでのあらすじ:
上月城で切腹して死んだ神西の女房は、ともに死のうと言ったもののなだめすかされ、
京都に落ち延びて出家した。
同じ出雲出身の勾当という盲人と仲良くなって悲しみを慰めていたが、
勾当のところに親しく出入りしている不破という男が、神西の女房に一目惚れしてしまった。
やがて不破は勾当を脅して女房に話をつけてくれるように頼み込み、
勾当は不本意ながらも女房を説得した。
女房は反発したものの、勾当は聞き入れず、
女房は不破との縁談を承知した振りをして、どうにか言いくるめて勾当の居所を去った。


神西の女房のこと(6)

女房は乳母を呼び寄せると、「このようなことがあったのよ。
あなたも知っているように、この世に生きていればこのようなこともあるかもしれないと思って、
上月で夫と一緒に死んでしまおうと何度も言ったのに、
あれこれと言いくるめられて、そのうえ刀まで取り上げられてしまった。
それで思いに反して自害をやめ、今までつらい命を永らえて、このような悲しい目にあってしまった。
今は何とでも言えるけれど、女の身なのだから生きていく手段がない。
だからといって、取り押さえられて無理やり妻にされ、他の男に添ってしまえば、
草葉の陰で我が夫と同じ道に行きたいと言ったことまで、嘘偽りのように思われてしまう。
これではあんまりよ。

名も知らない東夷に娶られるよりは、頼りにしている御仏のいらっしゃる西の空に至りたく思う。
私は今夜中に死んでしまおうと覚悟を決めた。
あなたは後に残って、一返の念仏でも回向して、後をよく弔っておくれ。
それでなくても女は五つの障りの罪が深いというのに、
迷いの雲が厚くて心は月の光を失い、長く闇のなかで迷うことになるね。
悲しいものだわ」と、涙ながらに掻き口説いた。

乳母はこれを聞くと、「これはなんと情けのないことを仰るのですか。
あなたが産屋でお生まれになったときからこの手に抱いて、成長なさるお姿を見てまいりました。
自分が年寄りになっていくのも忘れ果て、あなたが成長なさるのを嬉しいと心から思い、
片時も離れずにきたのです。
雪が降って霜が凍る冬の夜は、寝床を暖め衣を重ねて寒風を防ぎ、
水無月の、土さえ避けるほどの日照りの日には、扇であおいで涼しい風を送り、
丹精こめてお育てしてまいりましたのに。

今あなたが先立ってしまったら、老いた私がただ一人生き残っても、
たとえ百歳まで生きられたとしても何の楽しみもありません。
春は花に寄り添ったお姿を思い出し、秋は月に浮かんだお顔ばかり思い出すでしょう。
悲しみばかりが増えすぎて、草の葉の末の露が消え残り、
物思いに沈まなければならないのでは、あまりに悲しい。
私もあなたと同じ道にお供をして、渡る川の深い流れも御手を取って越え、
来世も同じようにあなた様に仕えられるのであれば、少しは思いも晴れましょう。
どうして私を後に残していくなどと仰るのですか」と涙に咽んで倒れ伏した。

また、もう一人の侍女のお才という者もこれを聞いて「乳母が仰ることが道理です。
私だって、荒くれの熊の出る奥深い山、鬼の出るという遠い島であろうとも、
あなた様さえいらっしゃればお供しようと心に決めて、これまでおそばから離れずに参りました。
八雲立つ出雲から、今は九重の中までも付き添って参ったのですよ。
あなた様が死んでしまったら、どうして私も後に残りましょう。
あなた様が七つ、私が五つになった春のころから、おそばを離れずにお仕えしてきたのですから、
お名残はいつまでたっても忘れるなどできません。

しかし、私もまたあなた様や乳母と同じように死んでしまえば、
誰が七日ごとの弔いをしてくれるでしょうか。
しばらくは私が後に残って、これまで身近に使っていた調度品などを高僧に献上し、
後をきちんと弔ってから、その後で参ります。しばしお待ちくださいませ。
こんなことを申しますが、露の命を少しの間惜しむわけではありません。
恋慕の思いが深く、あなた様が六道に迷ってしまったらいけないので、
一本の卒塔婆だけでも供養をして、少しでも苦しさを和らげようという意図でございます。
それでこのつらい世にしばし留まるともうしていっるのです」と、消え入るように泣き出した。

神西の女房はこれを聞くと、「私は貞女の道を守り、
とんでもない浮名で後生を汚されたくないという思いが深いから、こうして一筋に思い定めたの。
お前たち二人まで私のために命を失うことになったら、嘆いても嘆ききれない。
同じことなら、後に留まって私の菩提を弔っておくれ。
そちらのほうが、ともに同じ死出の道に赴くよりも志が深いものだし、
その功徳は黄泉の国の底までも届くものでしょう」と涙ながらに制したけれども、
二人の者たちは一向に了承しない。

「そこまで意志が固いなら仕方ない。もう止めても甲斐はないのね。
では、一緒に最後のお勤めをしましょう」と仏前に行って、経を読み念仏を唱えた。
女房は神西の遺影の前に座り、そばの硯を引き寄せて塵を払うと、夫の画像のそばに、
「蓮葉の台の上にまで暫し 来ん世も同じ契り絶えずは」と書き記した。
そして乳母とともに忍びやかに宿を出て、桂川のほとりに行き、岸の陰に座すと、
身に着けているお守りから弥陀の尊像を取り出し、苔を払った岩の上に置き、手のひらを合わせ、
「光明遍照十万世界、念仏衆生摂取不捨」と唱えた。
それから女房は小指を切って血を出し、その血で岩に
「世を海のあまとなる身は御仏の深き誓いの網に漏れじな」と書いて、
乳母に「行きましょうか」と声をかけた。
乳母は「さあ、お供いたします」と答え、互いに手に手を取って、波の底に入っていった。

徐君宝の妻の趙氏という女は、岳州が敗戦すると敵に捕まり捕虜にされたが、
汚されまいと心に誓い、壁に詩を書いたという。それはこうだ。
「漢上の繁華、江南の人物、尚宣政風流を遺す、緑宗朱戸十里銀鈎を爛、
一旦刀兵斉く旌旗を挙げ、百満貔貅を擁し長馳して歌楼舞?に入る、風落巷を捲り、
愁う清平三百戴き、典章文物地を掃いて倶に体す、幸いに此の身未だ死せず猶南州に容す、
破鏡除郎何に在る、空しく惆悵して相見るに由無し、
今より後断魂千里、夜々岳陽楼書、罷りて水に赴きて死ぬ」とあったそうだ。

また李景文の妻の彩鸞は、賊父の嗣源を殺そうとしたとき、一旦は父の命で賊に従ったものの、
辱めを受けまいとの思いが強かったので、賊とともに桂林橋を通りかかったとき、炭を拾って壁に向かい、
「一人桂林橋下の水のみ有り、千年妾が心の清さを照見す」という詩を書き記して、
流れに身を投じて死んだそうだ。
彼女たちは壁に詩を残し、この女房は岩に歌を書いた。
昔は桂林橋の下の川に清い心を誓い、今は桂川の淵に妹背の盟約を深くした。
和漢の隔たりはあるといっても、貞節を守って死んだ点で、同じできごとだと、人々はみな感涙を流した。

お才という侍女はこの様子を見ると、眩暈がして心ここにあらず、
泣きたくても涙は出ず、叫びたくとも声が出なかった。
もう誰もいなくなったところに倒れ伏して、気を失ってしまった。
しかししばらくして気がつくと、「それにしても言う甲斐のない心だこと。
前々からこうなるということは知っていたのだから、いまさら驚いてなるものですか」と心を制しながら、
周囲の家を尋ねていった。
「このようなことがあったのです。せめて死骸を引き上げてはいただけないでしょうか」と頼むと、
近所の人たちが驚き騒いで集まった。

しかしどこに死骸があるのかわからない。
水練の達者な者が水に入って担ぎ上げてみると、主従二人して手を取り合って水の泡と消えていた。
「これはどうしてこんなことになったのか」と尋ねると、お才という侍女は、
「このようなことがあって、私の主人である人がこのように成り果ててしまったのです。
不破殿が恨めしい。勾当殿は情けのないこと。我が君を返してください、命を返してください」と、
声の限りに泣いた。

ずっとそうしているわけにもいかないので、お才は二人の死骸を引き取ってきた。
誓願寺には以前から師弟契約のある貞安という高僧がいたので、この人を招くと、
火葬をして七日ごとの弔いを丁寧に執り行った。
お才は布施にするものが何もなかったので、身に着けている衣を脱いでその高僧に献上した。
貞安はこれを見ると、「気持ちはありがたいが、あなた他に着物を持っていないでしょう。
着物がなければ、風を防ぎ寒さをしのぐことはできないと思います。
ここはお気持ちだけもらっておきましょう」と、衣を差し返した。
お才が「他にないものを差し上げるのが最上の気持ちの表し方なのですから、どうかお納めください」
と言うので、上人は「ありがたいお気持ちです」と涙を抑えながらその着物を受け取った。

上人はこう言った。
「昔、毘婆戸仏が世に出たときに、一人の比丘尼がいました。
町に出ては人々を勧誘して仏のところに赴かせ、説法を聞いて布教したりしていましたが、
あるとき、きわめて貧乏な女人がいました。
夫婦でたった一枚の衣を共用し、夫が着物を着て出かけるときには、
女房は裸のまま留守を守っていたのです。
女房が出かけるときには夫が裸で家にいいます。
教化のために比丘尼はその人の家に行って女房に会い、こう言いました。
『仏はめったに世出てくるものではないので、説法を聞く機会はあまりありません。
このような好機はありませんから、どうぞ説法を聞いてお布施をしてください』

女房は比丘尼を待たせておくと、夫に『お布施したいのです』と言いました。
夫は『そう言うが、こんなに困窮しているのだ。布施できるものなどないぞ』と答えます。
女房は、『前世で布施をしなかったから、今生でこのように困窮しているのです。
今布施をしないのであれば、今後いつできるというのですか。
できれば、私はこの一枚の衣を布施にしたいと思います』と言いました。
夫は、『私はお前と一緒にこの一枚で暮らし、交互に衣を着て出入りしながら生活の糧を得ているのだ。
お前がこれを人にやってしまったら、死ぬしかない』と言います。
女房は、『生きていれば必ず死ぬものです。
布施をしなくても死ぬのだから、後生に少しでも望みを託しませんか』と言いました。
夫はこれをしみじみと聞くと、比丘尼を家に入れて衣を渡しました。

比丘尼は『仏にお会いになって渡したらいかがですか』と言いましたが、
女房は『私たちの持っている衣はこれ一つで、他にはないのです。
みっともないので、ここで脱いでお渡しします』と答えました。
比丘尼はこの衣を受け取ると、呪願を説いてから仏のところに戻り、
大衆(だいしゅ、仏弟子のこと)にこのことを話し、
『布施として、これほど清浄な衣畳は他にありません』と言いました。

そのとき国王が夫人とともに仏の説法を聞きに来ていたのですが、
夫人はすぐに身に着けていた飾りを外すと、その女房にそれを贈りました。
また王も、自ら衣を脱いで、その夫に与えました。
この功徳のおかげで、その女房はそれから永遠に悪道には堕ちませんでした。
そして貴人たちとも交流して住暮らすようになって、たくさんの衣服にも恵まれるようにまでなりましたが、
この義のために出家して悟りを開いたそうです。
このような経説もあるので、今あなたが一枚の衣を布施をしたその功徳によって、
本日供養した尊霊は言うに及ばず、あなたもまた成仏解脱は間違いないでしょう。

だいたいにして、あなたのような貧しい方が供養をなされば、
大福長者がどんなに珍しい宝物をなげうつよりも、その功徳は深いものです。
『阿闍世王受快(決?)経』にはこうあります。
あるとき阿闍世王は燈明を仏に供養することにしました。
それを知った貧乏な老婆は、人から二銭を貰い受けると、油を買いに行きました。
油屋の主人は貧しい老婆を哀れんで、二合しか買えないところ、三合を恵んでやって五合を渡したのです。
貧しい老婆は、『もし自分が仏のように悟ることができるなら、
夜通しこの光明が絶えないように』と誓願して去っていきました。

そして他の明かりが消えたとき、その貧しい老婆の光明だけが消えなかったのです。
翌朝になって仏が目連に言って明かりを消そうとしたところ、
袈裟で覆っても扇いでもその光は消えませんでした。
また荒ぶる神が風を吹かせてもなお消えない。
上は梵天を照らし、その明かりは三千世界を照らしました。
仏は、『およしなさい、これは未来の仏の光明功徳である。
お前のようなやりかたではどうもできない。この仏は須弥燈光如来という。
その仏の世界は、衆生が暗いところを照らすために光があるのだ』言いました。

またそれだけでなく、優曇女は紙一枚を仏にささげて三十二相を得て、
壮厳花女は麦三粒を観音に捧げて、とんでもない金持ちの家に生まれ変わりました。
鉢羅花女は大豆六粒を観音に捧げて三千世界の王となり、
金剛女は麻の実を三粒観音に捧げて?利天になり、
摩耶女は母のために一宇の経を書いたので、母は地獄の苦しみから逃れることができました。
このような例もあるのです。
あなたももちろん後生は成仏できるでしょうし、主君の女房や、
ほかにその志を回向なさっている故人の霊たちは、みな成仏解脱できるはずです」

これを聞いたお才は感涙し、この言葉を胸に、また仏前に参って念仏を唱えると、
主君の女房の菩提を丁寧に祈った。

その後、お才は上人の前に来て十念を授かり、涙を流して立っていたが、
やがて桂川に訪ねていくと、主君の女房が沈んだ場所に身を投げて死んでしまった。
貞安上人はこのことを耳にすると墨染めの衣の袂を涙で濡らし、
急いでお才の死骸を引き上げて土中に埋めると、三人の女たちの後生菩提を深く弔って、
四十八日間は念仏説法して回向発願し続けた。
世の人々は皆このことを語り合い、聞く人は皆涙で袂を湿らせた。
それだけでなく、かたじけなくも雲の上(帝?)までこの話が伝えられ、
「弓馬の家に生まれる者は、女性の身であってもこのように義を思って、
命を軽んじるのだな。哀れだ」と感心したのだという。
女御や更衣、百官卿相にいたるまで、皆袂を絞った。
その身ははかなく苔の下に埋もれたとはいっても、名は紫の台の上まで聞こえたばかりでなく、
千年の後までも残り続けた。悲しくも美しい話である。


以上、テキトー訳。おしまいー!!!

ふぅ……いやしかし長かったね!!!
本当にあった話がベースなのかどうかよくわからないけど、
正矩がでっち上げるとしたら根拠が弱いよな。
敵の神西の女房を主人公にする根拠が薄弱だもんな。

今回面白かったのは、女性たちの間にも主従の意識が強くあったことをうかがわせるような描写。
乳人は、男でも女でも同じようなことを言うね。
「オムツをしてたときからこの腕に抱いて、あなたの成長ばかりを楽しみに生きてきた」ってさ。
泣かせるじゃないの、乳人。

あと、お才は、男性に照らし合わせてみると、近習のような存在なんだろうか。
7歳の主君に5歳から仕えるって……ゴクリッ
アリなの、ねえそれってアリなの?と、労働基準法に慣れきった頭では考えてしまうわけさ。
でも考えてみると、好きな武将たちにも同様に、
幼いころから見守ったりついてきてくれた家臣たちが当然いるわけだよね。
夫婦よりも長いこと一緒に暮らしてきたんだもん、そりゃ「主従は三世の契り」って言われるわな。

さてそんなわけで次章、ようやくキナ臭くなってきそうだぜヘヘイヘイ♪ヾ(。・ω・。)ノ゙
待ってましたの両川、そして直家さんが登場するよ~~~! てことはアノ話だw
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