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2013-03-27

冷泉と陶の鞘当て

だいたいの流れ:
大内家では義隆の寵臣相良武任と、重臣の陶・杉・内藤らとが険悪になり、
ついに武任が争いを避けて山口を出奔した。
しかしなおも陶隆房たちと義隆の間の溝は埋まらず、
隆房は隠居するふりをして大友宗麟・毛利元就らを抱きこんで義隆を滅ぼそうと決意した。


陶の隠居、付けたり冷泉諫言のこと

陶尾張守は内々に安富源内に近づいて親しくなり、馬や太刀などを折りにつけ贈って、こう語った。
「この隆房は主君のことそれは深く考えております。
たとえこの身が滅びることになろうとも、政道の奸邪を正し、
近隣諸国が大内家の武威にさらに従うようになり、徳化に懐くようになれば、
御当家は末永く続くでしょう。
そのためにこの隆房がどんな刑罰に処されようとも、主君のために命を落とすことは、
忠臣として望むところです。
だから相良を討ち果たそうとしたのです。
そうすればすぐに義隆公から切腹を命じられると考えておりましたが、
そうされなかったのは、ひとえに亡父道麒の貫いた特別な忠勤に免じてのことでしょう。

義隆公から勘当されなかったとはいえ、まさしく朋輩の相良を討とうと企んだのは本当ですか。
武任は結局逐電してしまいました。
それなのに私が何の憚りもなく山口で暮らしているのは、不義不礼に他なりません。
ですから、私は子の五郎に家を譲って富田へ引き籠り、
座禅をしたり念仏を唱えたりしながら、後世の菩提のために暮らしたく思います。
他のことはせずに、この世でのつながりを断ち切って、野山で生を送りたいのです。
このことを、義隆公へとご披露くださいますよう、お頼みいたします」

安富はこれを聞いて、度々贈り物をもらっていることもあり、
また隆房の陰謀を知らなかったので、「たしかにそのように思っているのだろう」と思い、
すぐに隆房の存念を義隆卿に取り次いだ。
義隆は、「隆房の所存に任せる」と返答した。

隆房は騙しおおせたと喜んで、天文十九年十月七日に、
義隆に隠居の挨拶をするため、出仕することに決まった。
冷泉判官はこのことを聞いて、義隆卿に大いに諫言した。
「隆房が富田へ隠居するというのは、俗世の交わりを絶って
安らかに何事もなく生涯を送ろうとしているわけではありません。
これはきっと、自分の城に引き籠り、陰謀を企もうと考えているに違いないのです。

あの者が居城に引き籠った後では、企みに気づいて退治しようとしても、ほとんど不可能です。
幸いにも来る七日にお暇乞いと称して出仕してくるそうではありませんか。
お許しをいただければ、私が奏者を務めて陶と刺し違えます。
ただし、もしかしたら陶の郎党たちが殿中へと切り入ってくることもあるでしょう。
前もって佐波・黒川・天野らに仰せ付けて、その押さえを置かれ、
また御前にも気心の通じた勇士たちをあちらこちらに配置されて、
ご用心なさるのが肝要と存じます。
今陶を討たなければ、虎を育てて自ら憂いを残すのと同じです」

こう諌められて、義隆卿は「陶は近年は武任との所縁の件で私を恨んでいるとはいっても、
武任が逐電したのだから、これまでの遺恨も氷解しているだろう。
どうして今逆意を企てるというのか。確かな謀反の証拠はあるのか。
もし証拠もなしに討ってしまえば、自滅自亡を招く。
国を滅ぼし家を破るのは、人を失ったからこそである、とも言うではないか。
陶は当家の柱、礎とも頼む臣なのだ。

柱が弱ければ家も壊れ、宰相が弱ければ国が傾くという。
たとえ陶が謀反の兵を起こしたとしても、この義隆は一旦は和睦を結び、
君臣合体の道に専念しよう。
主君が臣と一体になれば国は栄え、主君が臣と歩みをそろえなければは国滅びるという。
私は和を大事にして、隆房と水魚のような関係になろう。
今陶を殺してしまえば、隆房を滅ぼすだけでなく、この義隆の身を滅ぼすことになろう」
と、隆豊の忠告をまったく聞き入れなかった。

隆豊は、「なんと意気地のない仰せだろう。
賢明な者はまだ物事が萌芽しないうちに遠くを見通し、
智者は物事の体制が整わないうちに危険を避けるという。
陶の謀反はもう露見しているというのに、
討伐を差し延べてはどうして退治しおおせることができようか。

だいたいにして義隆は、文には明るいものの武に暗いから、
部下を威圧することがないので、諸士はややもすれば義隆を侮ってしまう。
隆房は文には疎いものの武勇を備えているので、諸人は隆房を恐れている。
だから隆房は趙高・禄山よりも驕ってしまい、武任の首を刎ねてやろうなどと、
好き勝手に逆威を振るうのだ。

豪傑が政治を掌握すれば国の威は弱まり、
殺生の判断が豪傑に委ねられているときは国の勢いは減退し、
豪傑がこうべを垂れているときには国が長く続く、という。
たとえ隆房に謀反の企みがなかったとしても、今驕慢を戒めなければ、後で臍を噛んでも益はない。
まして、隆房はすでに逆心を抱いているのだ。

これを見抜けない大の盲目の将、義隆に与して身を滅ぼすのは、無念極まりない。
主君のために命を捨てるのは、まったく惜しむようなことではない。
隆房が富田に引き籠って謀反を企てたときには、義隆と一緒に死ぬ命。
どうせなら、今先立って陶と刺し違えて死に、義隆卿の救難を救いたい。
隆房の心がどんなに猛々しくても、力量はこの隆豊の十分の一もない。
来る七日に出仕したときに、奏者をする降りをして取り押さえ、刺し殺してやろう」
と心を一つに思い定めた。
二人の子供はまだ幼かったので、このことを遺言することもできず、
事の次第を筆の限りに書き置くと、陶の出仕を待っていた。

さて同七日、陶尾張守が隠居の挨拶のために築山へと出頭してきた。
前々から言い含めてあった宮川・深野・江良・野上など二百余人、下々に至るまで、
屋形義隆公を一目拝し、お別れをしようと、ばらばらと小庭まで押し入ってくる。

隆豊の思惑は外されてしまった。
たとえ陶を討てたとしても、義隆は何も用心していないので、
隆豊が陶を討とうとしている隙に隆房の郎党が義隆を討ってしまう。
そう考えて、隆豊は、千度刺し違えようと思ったものの、仕方なく怒りを抑えて取りやめた。

けれども、これから怨敵となる者を討たずに逃がす口惜しさに、
思わず両目からはらはらと涙を流した。
隆房は鋭い男なので隆豊の心中を察したのか、
「冷泉殿、何が悲しくてそんなに涙を流すのですか」と、苦々しく咎める。

隆豊は、「不審がられるのはもっともです。
しかしながら、近年はあなたが山口にいたというのに、
私は義隆卿の御前から少しも離れることができずにいたので、
千里を隔てた遠くにいるような心持でした。
それなのにあなたが富田に隠居されてしまうと聞きましたので、
今後はお見かけすることもほとんどないかと思うと、名残惜しく思い、
涙がこぼれ出てしまったのです」と返答した。

隆房は、「なんと、それほどまで私との名残を惜しんでくださっているのですか。
ありがたいご芳志です。志が合えば、たとえ呉と越でも兄弟のようになると言われています。
山口は富田からわずか一日で来ることができますので、
たとえ隠居はしても、折々には参会するつもりです。
それに、五郎長房をここに留めて置くので、何事もよろしくお願いいたします」と言って、
暇乞いをして退出していった。

こうして隆房は若山へ引き籠った(十一月二十七日)後、
豊後の大友左衛門入道宗麟へと使者を送った。
「義隆は相良の讒言に乗せられて、隆房を討ち果たそうとなさいました。
私が讒者の実否を糺して武任を取り囲み、首を刎ねようとしたのは、
義隆の国政の奸邪を取り除くためだったのです。
まったく私怨・私恨からではありません。

それに、この隆房に誤りのないことを一つ一つ説明しても、義隆はなおも心を解かず、
いよいよこの隆房の首を刎ねようと躍起になっています。
私も仕方なく、義隆に向かって一矢報いてから自害しようと考えております。
もし宗麟が罪もない隆房に憐憫を垂れてくださるならば、
御舎弟の八郎義長公に大内家を相続させてくださいませんか。
隆房は後見役となって忠勤を尽くします」
そのころ、筑前の麻生五郎が宗麟の勘気を蒙って豊後にいたので、隆房はこの人を通じて申し入れた。

また、義隆からも、「陶の暴虐がひどく、たちまち主従の礼に背いて謀反を企んでいるので、
この者を誅罰する予定でいます。
もし宗麟が一味してくださるなら、隆房を討った後、御舎弟の五郎殿を養子に迎え、
大内家を譲ろうと思います」と言い送られたが、
宗麟には深い考えがあったのか、陶と一味して、
義隆からの書状も一つ残らず陶の方に送っていた。


以上、テキトー訳。

いやいや、悔し涙を抑えきれない隆豊さん、いいね!
涙の言い訳が秀逸だよね。
「義隆さまのそばから離れられなくてあなたとはあまり会えなかったから」って、
隆房に対する当て付けですか? 当て付けだよね!?
これには隆房さん、イラッとしたんじゃないかなぁ(妄想)。

しっかし実に義隆は人の忠告を聞かない主君だなw
隆豊の話を聞かないだけなのかな? 武任の讒言は聞いてるもんな。
まあ、何度も長々とお説教かまされてれば、聞き流したくなっても仕方ないというか。

さてさて、お話は風雲急を告げる展開となってまいりましたが次章!
大内家の内乱に関しての毛利家の反応!
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