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2011-11-25

秀吉「これでもか!」

前回のあらすじ:
四国征伐の後、秀吉に出仕するため大坂に上った隆景・元長は、想像以上の歓待を受けた。
秀吉自ら大阪城の天守を案内し、供の者百人以上も呼び寄せて見学させた。


元長・隆景、大坂へ上りたまうこと(下)

その後殿下秀吉公は両人(隆景・元長)の家の者に贈り物を渡そうと、
反物を持ってこさせ、山のように積み重ねた。
「それ、皆これを好気名だけ持っていけ」と放り投げると、
二巻・三巻取る者もあれば、ようやく一巻を確保する者もいる。
殿下は大いに興に乗って、手を叩き声を上げて大笑いした。

元長様は中国へ帰ってからこう言った。
「天守見物をしたときに、秀吉を一刀のもとに斬り殺し、自害してやろうと思っていた。
今だ斬れ、今だ打てと何度も思ったが、
この身は毛利家のために命を捨てるのは望むところではあっても、隆景は違う。
たとえ秀吉を討ったとしても、隆景を失っては、中国の柱・礎が砕かれてしまう。
そうなれば毛利家の滅亡を招くだろうと、仕方なく思いとどまったのだ。
ああ、隆景さえ同道していなければよかったのに。
太政大臣だろうが、関白だろうが、体が金属や石でできているわけでもないのだから、
ただ一打に斬り殺してやったのに」

こうした気持ちを魂に抱えていたからか、その気配が外にも顕れていたのだろう。
秀吉公はその後、宮部善乗坊に対して、
「吉川元長は祖父の元就、父の元春にも劣らぬ大将と聞き及んでいたが、
聞いていたよりもさらに恐ろしい眼光だった。
この秀吉は鬼だって恐ろしいとは思わないが、あの元長の目つきは、
ともすれば秀吉だろうと一太刀浴びせようと思っている目だったから、
なんだか居心地が悪くてくつろげなかたぞ」とこぼしたという。

その後、秀吉公は隆景・元長に太刀など数々の贈り物をした。
両将に供奉していた今田中務・井上又右衛門も呼び出され、駿馬を一頭贈られた。
さて、隆景の宿には蜂須賀彦右衛門、元長の宿には黒田官兵衛尉が付け置かれた。

翌日二十日、隆景・元長が三吉の中納言秀次卿のところに出向くと、
秀次卿がすぐに対面してたいそうなもてなしを受けた。
饗膳には金銀をちりばめ、山の幸や野菜が所狭しと並び、終日盃を重ねた。
その後、観世左近・金春八郎・春藤六右衛門・樋口石見・大蔵二介など
乱舞の名人たちが呼び寄せられ、三番能が催された。
ここでも今田中務・井上又右衛門の二人が呼び出され、良馬を贈られた。

その後、元長・隆景は別れの挨拶をしてそれぞれの宿に帰っていった。
この扱いに、時の面目、世の覚えもまた比類ないものだったようだ。
殿下はまた元長・隆景を招いて言った。
「来年は九州の逆徒、島津・秋月・高橋らを成敗する予定だ。
あなた方は地理的にも近いので先陣を頼みたい」
隆景・元長は「かしこまりました」と答えた。

同(天正十三年)十二月二十日、暇乞いを済ませて大坂を出発しようとすると、
秀吉から「このごろは北風が激しくて海上は波が荒れている。
船路では大変だろう。陸の道で下国するといい」と、
案内者として蜂須賀彦右衛門・黒田官兵衛尉が差し添えられた。
元長・隆景は「時の面目が他の人々より高くなった」と感じて、
手足がどこにあるかもわからないほどだった。

摂津・播磨・備前・備中まで、宿泊所では米や酒肴まで提供され、丁寧に料理して出された。
下男や中間に至るまで、道に兵糧をばら撒くこともなく、上機嫌で歌などを謡いつつ、
同晦日、備中の河辺川に着いた。黒田・蜂須賀の人々も、ここで互いにお別れをして備前の岡山に帰り、
そこで年越しをし、翌天正十四年正月上旬に大坂に向けて旅立った。
元長・隆景は、同正月五日に芸陽の吉田に到着し、輝元様に会ってから、
それぞれ沼田・新庄へと帰っていった。


以上、テキトー訳。

うんうん、元長、憎かったろうねぇ……
毛利勢と秀吉は、戦争はしていたけれども遺恨が積み重なっていたわけじゃないんだから、
和平も結んで完全に軍門に下った状態で「殺してやる」とか、明らかに別の恨みがあったんだろうね。
やっぱり経家のことなんだろうと思ってしまうのは穿ちすぎなのかね?

でも「陸路で帰りなさい」と言われて案内者まで添えられたからって
舞い上がるのはどうかと思うよ。
どうせ毎度おなじみの財力・影響力の示威行為じゃないか。
しかし、ここが秀吉のすごいトコなんだよな。
ものすごくパフォーマンスがうまい。
多少やりすぎでも。
本当に「これでもか!」ってくらいで下心見え見えなんだけど、
不思議と丸め込まれてしまうんだよね、みんな。

とすると、やっぱり人を口説くには押せ押せが正解ってことかな。ちがうか。
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